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万引き家族の社会学者のレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.5
家族とは何だろうか?
首都大学東京の宮台真司教授は社会学者のタルコット・パーソンズを引き家族の機能には大きく2つあるという。
1つは「子供の社会化」もう1つは「感情の安定化」だという。
万引き家族はどうであろうか?後者の機能は普通の家族以上にあるようだ。
虐待を受けていた女の子じゅり(ゆり)はこの家族と一緒に暮らす事で、徐々に感情を取り戻していくことからもわかる。
自分は当初この映画は一般的な家族とは違うが、現代の家族がなくしつつある絆や優しさを思い起こすというメッセージ性のある映画と思っていた。
ところが後半祥太の事故を機に家族が逮捕されていく。ここでこの家族がなぜ一緒に暮らしているのか、その理由が分かってくる。
治と信代は過去に殺人を犯した共犯者として、祥太は連れ去られた子(本人は知らない)として、亜紀は本当の親から金をせびるための道具として・・・等々。
絆や優しさで結ばれているというよりは、ある目的で結ばれていることが分かった瞬間、自分が考えていた単純さを恥じました。
補足:この映画の公開近く東京の目黒でまた児童虐待死事件が起きました。
万引き家族は確かに法を犯してました。そして、万引きは決して許される事ではありません。しかし、虐待してわが子や連れ子を殺す鬼畜な親よりは、この家族の方が何百倍もよいのではないでしょうか。今後このような痛ましい事件が無いこと祈って。
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