りほこ

万引き家族のりほこのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

彼らは何故あの家に集まったのか。

"普通はお金のため"でも、
安藤サクラやリリーフランキーにはそれぞれの愛があって、
そこから愛によって生まれた家族。

"産んだら誰でも母親になれるの?
でも産まなきゃ母親になれないでしょう?"
安藤サクラさんと池脇千鶴さんの
ピリッとしてて、お互い間違ったことは言っていないのに、何か噛み合わないもどかしい感じ。あと少し!感情を思いっきり外に出せば解決するような、簡単なものではないから言葉を選んで自らを語る。
この作品は、安藤サクラさんに惹きつけられっ放しだった。彼女の気持ちの入っていない目に、母として子供を見る時や女としてリリーフランキーを見る時、表情が変わる瞬間に目が熱くなる。

最後の最後に、おばあちゃんがちゃっかりしてたことや家族が男の子を置いて逃げようとしたこと、家族の自己中心的なところが露呈する。それでもいい
安藤サクラさんがいう通り、"楽しかったから"
見えない、音だけの花火で幸せになれるくらい

男の子や女の子は、半分誘拐されて人生を変えられたようなもの。男の子が本当にわざと捕まったのかどうかは別として、
親や大人に簡単に居場所を決めつけられてしまうどうしようものない環境がとても悲しかったなぁ。
"普通は親は決められない"けど、
だからといって彼らは本当に"選択"したのかな

家族がどうあるべきか定義はないし、
血縁がそれほど必要とも思わない。
ただ"愛していたら叩くんじゃなくて、こうするんだよ"って、女の子を抱きしめながら涙を流す安藤サクラさんから
女の子を離すべきではなかったのにって思ってしまう。
こんな風に愛してくれる人が周りにいる、自分の知らない無意識な優しさに、気づいて大切にしてくれる大人がいることがどれほど大切か、

日本の映画が賞を受賞して、世界から注目される暗い面。
他国や同じ国民にとっても知りたくない部分だけど、注目を浴びることで顕在化してくる課題は他にもあるはず。解決なんて明快なものはなくても、認知して意識から変えていくことはできないのかな
りほこ

りほこ