使い古したものがごちゃごちゃ置いてある部屋が、おじいちゃんの茶の間とか、お父さんの部屋と重なって懐かしさに泣いてしまった。万引きなど、犯罪シーンは非日常だが、そのとなりにあたたかい家族の営みがあった。
こんな幸せな日常が積み重なって、家族になっていっても、法や社会に認められ守られていないと生活できない。幸せな家族とは何だろうかと考えさせられた。
警察官の質問にぽつりぽつりと言葉を絞り出す主人公たち。語る言葉をもっていない人たちのことを、私たちは自分の正しさで解釈して、知った気になっている。そして自分自身も語ることをやめている。
安藤サクラが子どもを見るときのまなざし、松岡茉優の疲れた顔が愛しかった。
●好きポイント
・情緒・季節を味わう描写とコミュニケーション→おばあちゃんのふとん、鍋、雪だるま、セミ、そうめん、花火
・懐かしいたべもの→おふ、カップそばにコロッケ、とうもろこし
・池松壮亮