ろばーと

万引き家族のろばーとのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

是枝監督パルムドール受賞おめでとうございます。

人によって幸せは多様だ。
この一言で片付けてしまえば、簡単にすむ。でも、その人それぞれの幸せには多くの問題があって、簡単に幸せなら...と言えることはできない。
ただ、周りから見た幸せそうな人が本当に幸せなのかと言うときっと違うだろう。

万引きの意味は、取るではなく拾う。価値の回復。一見価値のない人やモノ、金までも、自分たちのためではあるが新しい価値として拾っている。
社会的には問題かもしれない。でもそういう結果にしてしまっている僕ら社会のせいでもある。

いつも、是枝監督には学ばされる。本来であればドキュメンタリーというリアルな視点でその状況を伝えたいのが、僕らに響くのはフィクションと分かった上でのストーリー。
フィクションというフィルターを通して僕らに訴えることによって僕らの身の回りの社会を想像させる点は本当に素晴らしい。

また、カットひとつひとつにこだわりもあり、語らず見せる、見せず語らす、の心地よい構成。
あるあると思わせる登場人物の言い回し。
特に、花火大会の花火を音だけで楽しむ姿を俯瞰する演出、登場人物の目線を見せず、役者の顔を写す。どれも僕らの創造力を掻き立てる。
こんな映画見れて本当に幸せだ。

余談。
終わった後のこの感情を、りんが最後に見た光景は何か、最後に少しだけ光を見た気がする。
あの、見た先には誰がいたのか、何があったのか、あの幸せからまた遠ざかったしまった彼らの最後の希望のようなものを僕は受け取った。
ろばーと

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