060/8.4
決してわかりやすい映画ではなく、万人が褒めるタイプの作品ではないと思う。
すっきりするような解決が示されることもなく、モヤモヤしたものが残る。
ただ、それは登場人物たちの境遇や心情とも同じだ。
見終わった後、本作のことや登場人物たちのことについて議論したくなったのは確かで、そういう意味で本作は成功していると思う。
またこの作品は、人間性に対する希望みたいなものも描いている。
それは、表面がきずだらけの、くぐもったビー玉の奥に見える輝き程度の希望かもしれない。
でも、それを垣間見た人々は、 (一部の人間に失望したとしても) 人間全般に対して失望することなく歩んでいくのだろう。
そんな作品が、グローバルな観客や審査員たちに存分に評価され、ここ日本でも大ヒットしているということもまた、ひとつの希望だと思う。