このレビューはネタバレを含みます
カンヌを獲った是枝監督作品。
万引きを常習してる貧しい柴田一家。物語が進んでいくと彼らは法的な繋がりが一切ない不思議な関係だと見えてくる。
その希有で危険な関係がずっと続くわけもなく、その亀裂から崩壊?が一応物語の流れになる。
いや、亀裂は端々に最初から存在してる。
その『最初から』を表現しているというのがこの作品、監督の凄いところだと思う。
作品で映されていない1時間前・一日前・一年前をわざとらしいセリフなしに演技の一端などで表現できてしまう。
現代の日本作品では自然演技&ボソボソ台詞は少ないが、万引き家族はそれを固めて作った様な作品。定点カメラの自然演技なのに飽きない情報量が画面の中にギチギチに入っている。
当然こんな生活なんて殆どの人がしたことないはずなのに、取材・観察・想像を駆使して監督が演技指導をしているんだろう。
是枝監督作品を観るたびに驚かされる。
(当然役者の力もあってこそ。樹木希林が特にヤバイ。)
監督作品の中でもその深度と密度が最も凄いこの作品がカンヌを獲ったのも納得。
ある人物・生活の一部をそのまま切り取るかの様に作品を作る是枝作品。なので毎度のことながら当然大きなカタルシスやオチがあるわけではない。
けどそれがいい。