Sari

彼が愛したケーキ職人のSariのレビュー・感想・評価

彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)
3.8
2018/12/20 名演小劇場

主役が女性と男性二人の作品は今年の傾向にあり、何作か観ましたがその中でも異色というか、新しいLGBT映画でした。
しかし、それだけの映画ではありませんでした。

哀愁漂うエルサレムを舞台に、宗教や国籍、セクシャリティにとらわれずに生きる人間が とても丁寧に描かれていました。
カフェやスイーツの甘い部分と、宗教などの辛辣な部分を絡める脚本は面白いと思いました。
少ない台詞、ズームを多用したカメラワークで、俳優の繊細に移り変わる表情をじっくり、じっくり捉えているのが印象的でした。
映画の中で大袈裟な音楽は全くありませんが、静かで哀しげなピアノの音楽、カフェで流れる異国的な音楽、生活音をそのまま使っているところが良かったです。
新人の監督ですが 今後がますます楽しみになりました。
未見ですが『運命は踊る』に出演しているサラ・アドラー イスラエル人でフランスに渡って活動していたとの事。特別美人ではありませんが何気ない日常が自然と絵になる女優さんだなと思いました。
パティシエ役のティム・カルクオフはTVを中心に活躍していた俳優さんだそうです。複雑な心理の演技、表情、スイーツを作る手の動き。リアリティがあって良かった。彼の演技を観て、100人以上の中から 選ばれた理由がわかりました。
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