極楽蝶

ゲッベルスと私の極楽蝶のレビュー・感想・評価

ゲッベルスと私(2016年製作の映画)
5.0
貴重な証言を記録した映画。ゲッペルスの秘書を務めた女性ブルンヒルデ・ポムゼルが語るだけだけど、話に引き込まれます。彼女は秘めておきたかったことだと思いますが、人生の最後によく話してくれたと思います。
この証言を聞いていて思うのは、ハンナ・アーレントがアイヒマンの印象をまじめ公務員というように語っていたように、ブルンヒルデ・ポムゼルもゲッペルスを端正な紳士で、すてきな家庭を築いていたと話していることに、ある種の恐ろしさを感じます。ハンナ・アーレントやブルンヒルデ・ポムゼルが恐ろしいのではなく、恐らく時代が違えば普通の人間だった男たちが、恐ろしい謀略に手を染めて行ってしまうことに。
また、ブルンヒルデ・ポムゼルはユダヤ人が虐殺されていなかったことを知らなかったと語っていますが、僕は彼女の言葉を信じます。彼女は103歳にして嘘をつく必要はないし、たぶん僕たちも隣の家でどんなことが行われているのかさえよくは知らないのだから。
この証言は聞けば聞くだけ、新しい発見があるように思います。
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