暮色涼風

死と父と息子の暮色涼風のレビュー・感想・評価

死と父と息子(2017年製作の映画)
3.9
天使に憧れる死神や悪魔、またはその逆といった、対称的存在への憧れをモチーフにした話は、興味を一層唆られる題材のひとつ。

天使と死神。
光と影。
白と黒。
塩と砂糖。
濁点と半濁点。
喜劇と悲劇。
またはこの劇中にも使われている、陽気な音楽とホラーチックな音楽。

相反すると思われるこれらの実態は、全くの真逆に位置するものではなく、中和することのできない存在である。つまり、共存はし難いが、相互の性質を影響し合えるのである。

この世の秩序を乱さないためには、双方が共に存在して、バランスを保たなければならない。
変えられない事を甘受し、そこで生きていく。
本当の幸福とは、自由の中ではなく、その井の中で与えられる試練の先にあるのかもしれない。
暮色涼風

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