暮色涼風

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女の暮色涼風のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界大戦後まもなく児童向けに描かれたという小説が原作。
戦時中に疎開した子どもたちが、異世界にいざなわれ、その世界でも戦争が起こるという物語。


サンタさんが、「戦は醜い」と言いながらも、武器をプレゼントしてくるところが、印象的だった。
それは結局、殺しは正義ではないけど、やむを得ない殺しもある、武器を持って戦え、と、戦争を正当化しているように見える。
反戦意識を唱えながら、子どもに武器を与える大人の図をやるのは、全くの原作通りか分からないが、流石銃社会のアメリカ映画だなと皮肉に思った。


ちなみに、この映画のネット配信はDisney +だけだけど、原作の映像化権はNetflixにあるとのことなので、リブート版では戦争に対する意識がどう解釈して作られるのか、ちょっと楽しみ。


昔の異世界転移・転生・召喚ものは、主人公が少年少女の、児童向けの寓話が多かったが、昨今の異世界ものは、社会に疲弊したり疎外感を覚えたりした、壮年から中年の大人が主人公の作品が多くなっている。
"好奇心や探究心"といった子ども心をくすぐるものよりも、"欲求不満の解消や現実逃避"の色が濃くなっていると感じた。
主人公(自分)だけが特別な力を持ち、主人公(自分)にとって都合の良い世界で生きていきたい、それに共感する者が多く、需要がある内は、この物語のようにラストで主人公が現実世界に帰ってくる作品は、増えることは無いのだろう。
暮色涼風

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