鰹よろし

スマート・チェイスの鰹よろしのレビュー・感想・評価

スマート・チェイス(2017年製作の映画)
1.9
 高価(訳アリ?)な美術品を安心安全に移送することをモットーに且つ実際に定評のあるS.M.A.R.T.安保を生業にしていたダニーだったが、ある日ある時ゴッホのひまわりをゲンジュウケイカイで護送中ナニモノかの襲撃に遭い移送に失敗。品物も行方知れずで彼の業界での信用は地の底へと落ちてしまった。

 その後は従来の仲間とインチキボディガードで生計を立てていたが、同業者が失敗したとかで中国国宝の十二宮の壺をロンドンへと移送する超大仕事が彼らに舞い込んでくる。結婚を見据えた彼女にフラれ意気消沈していたところで好都合。彼は過去の失敗を勝手に開き直り汚名卍解を決意する。

 安心安全を絶対視したい業界において、主人公ダニーが犯してしまった移送失敗のみならず品物を強奪されてしまうという失態は一番のタブーであるはず。そんな全く信用の置けない彼を頼るというのは如何なる理由があろうとも避けるべき事態なはずで。にも関わらず彼が選ばれるという状況は、案の定な裏があるにしても安直すぎて観てられない。

 この展開に持ち込むのであれば、襲撃に遭い移送は失敗したものの品物は無事守られ業界での彼に対する評価は落ちるどころか鰻登り。しかし彼自身は重傷を負い最愛の人もしくは最高のパートナーが亡くなってしまい彼自身に何かしら問題(トラウマ)が生じている。などとした方がスムーズだったのではなかろうか。

 また過去に重大な失態を犯しているにも関わらず、二度同じ過ちは犯さないと啖呵を切っているにも関わらず、いざ新しいお仕事を開始してみれば緊急時における取り決めや段取りを一切行っておらずすぐさまオロオロアタフタ。

 二の手三の手を用意していないのは致し方ないにしても、正規のルートを一本ズレただけで、話したこともない少女に恋するドローン少年の道案内が無ければ迷子になっちゃう土地勘はその道のプロとして致命的では( ゚д゚)?

 スマートさへの意識は顕著であるし、アクションのスピード感や派手さは文句無し。しかし失敗の許されないミッションに対し、最低限あるべきプロフェッショナルな姿勢が一切感じられないのはいただけない。

 終始美術品の扱いが雑なのも気がかりで、高かろう良かろう値段と価値は比例するのだってなただそれだけが重要で、劇中の人間たちというより製作者自身が芸術の価値に対して何ら意識しているモノが無いのだろう。なんともチープな作品だった、残念。


「ミッション:インポッシブル」シリーズ
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