この映画で、シャロンテート惨殺事件は「純真さの喪失」と定義されているという。マーゴットロビーが女優然ではなく、26歳の瑞々しい女子としてヒッチハイカーを拾い夜遊びしてイビキをかいて眠り一人で映画館へ行き、自分の出演シーンに反応する観客に胸を躍らせる。
時代はパラマウントケースやTVの登場でハリウッドが衰退しつつある時代だったにもかかわらず、映画はそんなネガティブな空気には触れていない。
現実は残酷だった史実さえ、映画というおとぎ話では輝かしい純真として描けるという、"昔々、ハリウッドというところで…"と話すタランティーノの夢語りを観たようだった。