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ロスト・ドーターのmanmkrのレビュー・感想・評価

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)
4.2
女性が同性に持つヒリついた空気を描くのがとても上手いと、女性として感じた。それは、登場人物同士の空気だけでなく、観客視点から主人公(女)に感じるザワザワした感じも。

登場する女性(レダ、ニーナ、カリー、ハイカー)のうち、手に職を持ち一人旅する主人公は最初自立した女性のようにも思えたが、一番芯も希望も一貫性がないのがレダなのだと、人形を捨てては拾い、放置しては撫でさすり、を繰り返すのをみて思った。彼女に少し、去年往生したあの尼僧のイメージが被る。自分も現在1歳児の朝から晩まで小走りぱなしのようなワンオペ子育て真っ只中で、一線を越えてやろうという心境にいつかはなるのか、ザワザワと恐怖を感じた。主人公に共感できるのは、その行動を起こすに至るまでの彼女のぎりぎりのメンタルの部分だけ。実際は(自分は)、棄てないし、盗まない。そう、母になった立場として、思いたい。

終盤のレダの台詞「私、○○がないの」は、この作品の最終的な答え合わせだと受け取れた。"〇〇"はそういう意味でネタバレなので、書かない。
と思ったら、他の感想に皆さんめっちゃ書かれているのでやはりギョッとする言葉なのだろう。
ただ、それを自覚しているということは、それを完全に失くしているのではないのだとも思う。本当に欠如していたら、子育てを終えた今になってまでシコリになっていたりこじらせたりはしていないだろうから。
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