ピョンちゃん

スーツのピョンちゃんのレビュー・感想・評価

スーツ(2003年製作の映画)
4.0
バフティヤル・フドイナザーロフ特集上映にて鑑賞。

フドイナザーロフが初めてタジキスタンを離れクリミア半島にて撮った作品。悪ガキ3人組が手に入れたグッチのスーツを交代で着回しそれぞれの夢をかなえようとするお話。舞台が黒海沿いの保養地で金持ちがたくさん訪れる場所であるものの主人公は地元のほとんど不良みたいな少年という格差が印象的でした。みな問題を抱えていて「ここではないどこか」を望んでもがくという青春時代特有のやり切れなさ、エネルギーだけはあり余っていてどこに転がっていくかわからない危うさがありました。フドイナザーロフの作品は父親が愛人を作って出ていくなどクズとして描かれがちですが本作も父親との相克がテーマの一つでした。本人の実体験が反映されているのではと気になるところです。過ぎ去ったあの頃に思いを馳せたくなる作品でした。
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