きよ

クリード 炎の宿敵のきよのネタバレレビュー・内容・結末

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

時間の都合で、IMAX初の鑑賞。
試合の臨場感がすごい……新しい技術はいいものだ。

友人に教えてもらった一作目がとっても良くて、今回も期待に胸を膨らませて劇場へ。

このお話の良いところは、過去の栄光を有するロッキーでさえ、「完成形」で描かれないところだと思う。
もちろん、過去の名作、というか名勝負は歴史として息づいているけれど、やたらと美化しないところがとてもいい(新参者には有難いとも言う)。
アドニスの戦いは、過去の仇討ちではないし、そうした「自分の戦い」をロッキーも認めてくれる。本人は本人で、この試合が「ひとりのもの」ではないことを前に出して来るし、皆が今を生きていて、すごく前向きな気持ちになれる。
ドラコ父子も、はじめは父の復讐の入れ子のような歪な形に見えたけど、ヴィクターは父を愛していることがきちんと伝わるし、ボクシングも「させられている」ものではないのがとてもいい。父も、自分と息子は別の生き物だということをきちんとわかっていて、それらが全て描かれたとき、ふたりが、傷ついた者同士の二人三脚だったということが私にもよくわかって、全力で応援したくなり、試合のラストの方はどちらを応援していいのかわからずもぞもぞした。

母に置き去りにされて途方に暮れた子供の、爆発的な怒りのようなものが第1試合ではアドニスを凌駕したけど、守る恐怖と自分への不安に打ち勝った父の、静かな闘志が第2試合でヴィクターを倒す、という形は胸熱。
ヴィクターが持久戦に不利、というのも示唆的だと思う。これがフィジカルステータスだということはもちろんのことだけど、子供の怒りの尺と、守るものがある父の闘志の持久力はやっぱり違うよなとも。

女の人も強くて、いいな。
とかく、生きることに前向きになれる、良い映画でした。
きよ

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