こういう“親子モノ”映画のプロトタイプとして、言わずと知れた、1921年のチャップリンの名作「キッド」があるせいか、「クレイマー、クレイマー」同様、観る者は結末に期待してしまうし、作り手としてはハードルが上がってしまう。「チョコレートドーナツ」や「最愛の子」も、同じハードルをクリアした映画という気がする。
本作は、ペン、ファイファー、ダコタのメインキャストに加えて、カメオ出演も含めた贅沢な配役も愉しめるし、ビートルズの名曲カバーも嬉しい。しかし、なにより、世の中を信じられる優れたストーリーに浸れる幸せを与えてくれる、稀有の映画だと思う。