このレビューはネタバレを含みます
「惡の華」みたいな倒錯した世界の話かと思ったら、めちゃくちゃ軽めのラブコメで驚いた。
設定も登場人物もモリモリで、そのため話運びもめちゃくちゃなのだけど、話自体は好きなやつだった。
ちゃんとやれば、疑似恋愛から始まる真実の恋も書けたし、ホントの自分みたいな話も書けたし、モノを作る人の苦悩も書けたはず。
もともと一般向けでさえないんだろうけど、これらをちゃんと掘り下げて、壁ドンや首噛み、みたいなギミックを削れば対象範囲は広くなるのに…
そんなことしても興収が増えることには繋がらないってことなんだろうけど。
ラストの謎イベントは、そもそも文章ってそんなに綺麗にアウトプットされるものなのか不思議なんだけど、途中でやめて口頭で演説し始めちゃうのはうまくなかった。
せっかく作る側の人なんだから、作品の中で、実は疑似恋愛でしたって小説の中の人物に告白させ謝らせればいいのに。
玉城ティナが涙を拭きながら「ごめんなさい…ごめんなさい…」ってタイプしてたら切なくてイイ感じじゃん。
てかお前、一言も謝ってねーだろ。これは原作にあってもなくても絶対入れないとダメだよ。
とりあえず、90分にするなら義弟(金子大地)と山田杏奈は削るしかなかったと思う。
その二人目当てで減ったお客さんの分はメインの二人を替えて補填…と思ったけど、特に玉城ティナについてはちょっと代えが効かない気がする。
Sっ気の部分がマッチしてるのはもちろん、恋するモード時の柔らかさ、線の細さみたいなもの(言っちゃえばMっ気)が良くて、玉城ティナの魅力って実はそっちサイドだよなと思ったり。
そういう二面性のある役をどんどんやって欲しいと思った次第です。