ブッシュ政権下の副大統領ディックことチェイニーの伝記映画。アダム・マッケイ監督らしい風習と皮肉に満ちた笑わせ方と、まさかの途中エンドロールやその他の細かい演出・構成が秀逸。語り手の正体が明らかになるところも綺麗だし、ブラックなユーモアを感じる。前述の点で観ていて楽しさはあるけど、政治関連の風刺も孕んでいるので社会派映画独特の気難しさは感じた。チェイニーについては多くの人が中盤、ここで政治やめとけばよかったのにと思ったはず。一度権力を手にした者にしか分からない中毒性なのか、彼なりの正義感なのか。この作品を観る限りこの頃のアメリカは国家としてイラク戦争という取り返しのつかないことをしてしまってると思うし、最後まで国民に後悔はないと謝罪しなかったチェイニーだけど、本人たちが一番過ちに気づいてるんじゃないかな〜とも思う。エネルギー会社との密談でイラクの話が出てたところはアメリカの大きな裏を感じざるを得ない。実際にあったことなので少し胸糞悪さが残る内容だった。
