杉井ギサブローが、飛べ!イサミのらころから好きで、宮澤賢治も、風の又三郎から好きであったので、楽しみにしていました。
グスコーブドリの伝記は、ますむらひろし版の漫画でよく読んでいました。ブドリの生き様のりっぱさと、それとともにあるような人生の苛烈さは、ブドリという人物自体が自分の心の頑健さと、裏腹の人生の不条理さの板挟みにもがいて居るようで、それでも悔いなく生きたその生き様ががんばれ!と応援したくなるようです。
そういった同じですので、アニメ化されたときにどんな表現か楽しみでした。
さて、結果はというと、残念なものでした。
まず、物語にないキャラクタの追加は如何なものか。つきまとう死のイメージに形を与えるという意図では不気味さが増す配役でしたが、それはグスコーブドリの伝記の本則ではない気がして違和感がありました。
火山の観測員の仕事も描写が割とあっさりしていて残念。もとそこでも地味ながら活躍し続けるブドリの姿を描いて欲しかった。
ネリについては逆に描写が少なすぎて。もう少しボリュームアップしても良かったのでは。
お話の流れが小説や漫画を踏襲しつつアニメ映画ということで、クオリティアップを期待していくと思いますが、うまく洗練させられなかった気がします。
死や臨死の世界…いってしまえば幽世の描写が不気味で怖かったです。このタイプの怖気は「怪物たちの居るところ」以来でした。
それにしても子ども向けのはずなのに、いたずらに難解でとりとめのない内容になって残念。
絵の美しさ、調度品のデザインや色彩の豊かさ、キャラクターの演技など素敵なものがたくさん揃って居るだけに、ざんねんです。