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父、帰るのmylifeのレビュー・感想・評価

父、帰る(2003年製作の映画)
4.6
かなり前に観て良かった記憶があり再鑑賞してみた。確か、当時は適当にチョイスしたレンタルDVD作品でありパッケージもろくにチェックしていなかったのだ。

なので…金獅子賞と知ったのは鑑賞後のコトで深みが後々まで続いたのも納得の出来映えだと、その時は感じた。今観たらどのような気持ちになれるものかと再び触れてみたのよね。

兄弟の元に12年間をも行方知れずの父親が突然帰って来る。そして、3人で旅に出る様子を描いたロシア映画である。

突然、帰ってきて旅に出ると言う発想がまず興味深し…なのだ。かなり厳格な父親であり、そんな父を好きにはなれない。特に次男は反抗期からか素直になれない態度ばかりを装う。

そんな、親子3人のロードムービーなもので終始、親子の雰囲気は良くはなく気まずいような緊張感が漂う。観終えた人によっては、やや不完全燃焼のようなイメージのする作風と言えるかも知れない。

だが、不器用な父親は本当は何を伝えたかったのか…やはり、この作品はこの一点に尽きると思う。そして、このぎこちなさこそのリアリティが本作の持ち味のような気がするし引き込まれた理由だとも言える。

例の箱の中身については…再鑑賞でも意図が分からず何処かにヒントが隠れていないものかと思ったがやはり不明だ。あと、何故12年間もの間、家を空けていたのかも明確な答えを示していない。

だけど、その辺りの描写も含めこちら側に身を委ねてきているのも再鑑賞を経て本当は狙い通りのような気もした。

説明不足な感も否めないが身を委ねるタイプの作品としては秀逸で深い余韻がこだまするかのような作品なのである。
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