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父、帰るのSAZのネタバレレビュー・内容・結末

父、帰る(2003年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

近年の映画によくあるこった伏線はない。ただ兄弟の表情の豊かさと自然の美しさの描写が光る。

しかし、気になる点がいくつかある。これが伏線といえば伏線かもしれない。
まず、この物語は月曜日から土曜日までの時間を切り取っている。月曜に父が帰ってきて、金曜に死ぬ。そして土曜日は悲しみと罪を抱えて兄弟は帰郷する。もしこれが仮にキリスト教とオーバーラップしているなら、キリストは金曜日の午後に死に、土曜日は死者のために祈られ、日曜に復活する。この物語も日曜に何食わぬ顔で父が現れることを期待したが、物語が土曜日で終わってしまう(が、そこまでのストーリーは重なっている)。
次に、写真のモチーフが何を指すか。最後、写真はどんどんと時代を遡る。途中、父親がいない集合写真が現れるので、父親がいない世界になったのかと思ったが、最後に父親の写真が現れ、たしかにこの世界に父がいたことが明確になる。
キリスト教の父は愛の神であるが信じないものには非常に厳格である。そして、人間の目には見えないが必ずそこここにいる(と考えられている)。従って、この辺りもかなりキリスト教的に読み取れるような気がする。
またロシアで12使徒のアンドレ(ロシア語でアンドレイ)は非常に重要視されており、元々漁師である。
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