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父、帰るのmiのレビュー・感想・評価

父、帰る(2003年製作の映画)
4.5
なんだか一回では咀嚼しきれない内容。
結末が思ってたのとは違うが、かなりの衝撃。
殺し殺されずにそうなるんかー。と、なんとも言えない余韻を含ませた話だった。

12年ぶりに家族のもとに帰ってくる父。
表情がいつ何時も変わらず、厳格でサイコパスの匂いがする。
兄弟と父で旅に出る。
父を受け入れようとする兄、拒否する弟。
無人島に行くまでの道中も一筋縄ではいかない。
父親に反対した途端車から降ろされ放置されたり、父親の言うことに反抗すると厳しく叱責される。
そんな弟の反抗から悲劇が。

にしても、父親のことが全く説明されない。
どこで何しててなぜ帰ってきて、なぜ無人島に息子を連れて行って、であの箱なんだったの?
と言う具合に謎の男のままでモヤモヤ感がすごい。
とはいえ、そこは本筋ではなく父はある種の象徴的存在でしかないのかなとも思ったり。

終盤に「手でやるんだ、手で」と兄がセリフを言うシーンがある。中盤父親が同じセリフを言っていた。
兄は父を受け入れ、弟を守っていくことを決意した瞬間のように取れた。

最後に小舟が流されるシーンで、「パパ」と叫ぶ兄弟の姿に辛うじて家族の絆を感じた。


難しいが面白い。
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