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カツベン!のjyoのレビュー・感想・評価

カツベン!(2019年製作の映画)
4.3
周防正行監督の最新作は、日本におけるサイレント映画の興行を支えた活動弁士を主人公にしたメタ映画である。

活動弁士は、台詞のなかったサイレント映画に声をあて、ある種の解説のようなことを行なっていた。その中にはスターも誕生し、夢のある職業であったが、音のあるトーキー映画が生まれると、徐々に仕事を失い、中には自殺者もいたそうだ。

サイレント映画のスターでもトーキーが誕生すると自殺した人がいたそうである。サイレント映画の衰退は『アーティスト』や『サンセット大通り』でその様子を知ることが出来る。

『カツベン!』は、そんな時代の流れを描くのではなく、あくまで活動弁士の仕事にスポットを当て、ロマンス、コメディ、時にアクションと映画としての娯楽を余すところなく見せており、実在する映画も登場し、『ニュー・シネマ・パラダイス』のような仕掛けもある。

退屈する人は少ないはずだ。

意外にも本作が初主演という成田凌は、4ヶ月近い訓練を受けて本作に臨んだそうだ。勿論、吹替えではなく本人によるものである。

映画を愛し、活動弁士を愛するという姿が映画が誕生して120年たってもまだまだ私たちを楽しませると認識させられた。

因みに活動弁士は日本のみに存在したそうだ。

日本は娯楽に説明を求める事がよくわかる。日本映画には、説明ばかりと批判される事はよくあるが、この説明を求める文化があったからこその職業だった。

永瀬正敏が劇中で映画を説明する事に対しての批判をする場面があったが、それは日本映画を批判している事にも繋がるが、私自身、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のようなモノローグが多い映画を好んだりするから、説明がある事に対しての抵抗はない。

ただし、多すぎのも問題ではあるが、、、
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