シソウメ

来るのシソウメのネタバレレビュー・内容・結末

来る(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

原作に感銘を受け、中島監督の「告白」が好きだったので期待して観賞。

冒頭の緊張感と映像、展開は原作通りで期待は高まる。
オープニングのMVは中島監督全開という感じで好みは分かれるだろうが、お洒落で個人的に好き。

各登場人物の描写は原作よりも役割が明確になり、立ち位置がわかりやすくなっている。
もちろん原作にどっぷりハマった身としては野崎の性格の改変は疑問だし、琴子のカッコよさは鈍っているし、唐草もより一層ひどい男になっておりガッカリしたが…。
が、これはこれで映画「来る」としては正しい表現だったのだと思う。

田原秀樹はより周囲との関係性が明確になっているし
田原香奈の毒親設定は襲い来る化物の存在と目的とが明確に表現されるようアクセントになっていてグッド。

ストーリー部分に関しては、各登場人物の視点で展開される小説の構成で読者に与えていた驚きなど
伏線からのネタバラシを、ストーリーの雰囲気を崩さぬよう、よくぞここまで表現したのは本当に素晴らしい。
しかも2時間にまとめるとは流石としか言いようがない。

それでも納得のいかない不満点を挙げるとすれば、
田原が死んでからもブログを更新する幽霊になっていたり、
秀樹も香奈も最後の最後には知紗を守ることだけを考えて投げ出さなかったのはいいのだが…、香奈が秀樹のそれに気づく描写がなく残念。

そして何より、最後の5分間は本当にいらなかった…
知紗を連れて出たのはいいものの、連れ出したのは「子供が欲しい」と言うだけのキャバクラ嬢と、これまで親になることを拒否していた何でも屋のジャーナリスト。
こんな親になる自覚と能力の疑わしい二人が笑顔で知紗の親になろうとしている姿は危険極まりなく、無責任に思えた。

「親になること」「家族を想うこと」について間違ってしまった田原夫妻以上の子育てができるのか…
もしかすると、この後また「ぼぎわん」がやって来る可能性を示唆したかったのかはわからないが、
原作では野崎と誠はもっと大人に描かれているし、結末事体違うのでこの描写は本当に疑問。

映像や最後のスペクタクル表現など言いたいことは他にもあるが、とてもエンタメになっており良かったと思います。
気になる方は是非、原作を読んでみていただきたい。
シソウメ

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