キャプまる

オズランド 笑顔の魔法おしえます。のキャプまるのレビュー・感想・評価

2.2
波瑠と橋本愛目当てで鑑賞。実話ということに驚いた。

自分が勝手にだが、娯楽である映画と現実世界を重ね合わせて見る事が正しいかどうかという永遠のテーマに少し触れた作品。
私の現在の考え方は、ストーリーに現実を揶揄するような描写や皮肉った台詞が入っていたら現実と重ね合わせて評価される事が作り手の意向だと思うし、逆にそれらの臭いを排除している作品は現実とは切り離して、単純な物語として楽しむのが作り手の意向に沿っていると考えている。しかし人の手により生み出され、世間に発表された作品というのはどうしても受けての解釈によって作り手の意向と沿わない評価のされ方をされてしまうこともある。それに対して別に間違っているとかは決して思っておらず、むしろ上記の私の考えはあくまで自分の中での線引きというものである。

したがって、実話であるにも関わらず「あまり現実に落とし込まないように、ウソっぽくならないように」と発言している監督の狙い通りに、”仕事”という現実世界の臭いを排除し綺麗な面だけを掬い取った今作品をあえて現実と重ね合わせて評価するのは、受け手である私の身勝手な評価の仕方と捉えて欲しい。

何の目標もやりたいこともなく、側に居たいという理由だけで彼氏と同じ会社に入社するも熊本に配属され、いきなり離れ離れになってしまい不満たらたらな主人公。

しかし真剣に仕事に向き合いひたむきに努力することで周囲の人間関係もうまくいき、自分が最初からやりたいと言っていた企画の仕事もできるようになっていくというお手本のようなストーリー。

研修の意義も目的も説明せず、かと言って自分で気づかせるような仕組みもなく、生意気な態度の主人公には何も言わずただ仕事を言うだけの有様。
とりあえず研修させとけば、あとはお客様からの都度都度のご質問によりゴミ集めなどの研修の意義に気付けるだろうと言うあまりに前時代的で非効率な研修。(まあ実際前時代の実話なので当たり前かもしれないが)

実話なので、やり方が古い精神論に塗れた組織のそれと完全に一致しているのが皮肉な笑いポイントなのか。これを見て我々はどう感じれば良いのだろうか?古い体制だよなあと笑えばいいのか?結果的にうまくいっているこのやり方に憧れたらいいのか?何も考えず楽しむのが正解なのか?どうしても現実社会と重ね合わせてツッコミを入れてしまい素直に楽しめない。

ストレートな脚本で全体的に優しい暖かい世界。それを物足りないと感じるか心地いいと感じるかでこの映画の感じ方が変わってくると思う。
ご自身の職場がまともな考え方を持っている人がほとんどで真っ当な体制な上、顧客の無理な要望にこちらが身を削って答える事が美談とされない職場にいるのなら、こんな世界もあるんだなあと物珍しさで楽しめると思う。

しかし橋本愛がハマり役でとても可愛かったのが唯一の救いどころ。
キャプまる

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