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ここは退屈迎えに来てのmaiのレビュー・感想・評価

ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)
2.6
小説が好きで観に行ったのですが、あれは小説だから良かったんだろうなぁと確信しました。演者は若手女優・若手俳優が揃いに揃っています。高校生の無駄にエネルギッシュだったり、周りと差別化したいという感情だったりを上手く体現してると思えば、逆に現在パートでは変に悟ったような…楽しんでるはずなのに、何故か哀愁や寂れてしまった感じが表現できてて、この作品にぴったりでした。

ただ、話の展開的には前半はとにかく退屈で、ぶつ切りのエピソードをとって貼り付けたようなありきたりの日常を見せられてるような気分になって、この物語の趣旨がうまく伝わってこない感じでした。後半は、高校生の頃の感情とかと比べた虚しさだったりに何とか繋げてるような気もしますが、本来なら主人公たちは何か諦めたような悟ったような、もしくは吹っ切れたような感情を抱いてるはずなのに、実際に映画を通してみた彼らはどうしようもなく薄っぺらく見えてしまう。深いようなことや悟ったようなこと言ってるつもりなのに、何だか何かのコピペのような薄っぺらさを感じます。
彼ら彼女たちには「何者かになりたい」とかいう思いが多少なりともあって、それを結局は叶えられなかった(深い考えもないのだから、それは当たり前なのだけれど…)。そこに、若者の虚しさが現れて、さらにそれがきっと普遍的なのだろうと思うからこそ、小説の方は共感できたのだけれど、映画になると共感の部分が薄れてしまって…なんだか田舎のアホやってた高校生の成れの果てみたいな、ちょっと視点のズレた映画になってしまってる気がした。
センチメンタルな映画のはずなのに、なんだか終始冷めた目で観てしまって…個人的には今ひとつだった。

何度も言うけれど、キャストは最高でした!うまく演じきってて、小説の雰囲気まんまって感じです。ただ、結局は物語に共感だったりを感じられないから、「雰囲気」で終わってしまう…そんな印象を持ちました。
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