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ヘレディタリー/継承のjanomeのネタバレレビュー・内容・結末

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

今までに見たことのない描写や、これまでになかったような演出の仕方はハッとさせられるものが非常に多く優れていたと思う。

まるで実相寺的なパースの取り方とも言えるような、ただ若干引き気味で映している俯瞰が言い知れぬ不安を煽り、それは後に何の視点であるかわかる…
その機微の表現は素晴らしかった。


しかしどうしても、最後の結論に対しては少し冷めてしまう。

あれだけ積み上げられた現象や、関わった人物の正体がどんどん明らかになっていく中で期待が高まり続けたところで、最後に迎える物語の核心がかなりファンタジックなものであったのが…どうにも「物語的なもの」として捉えられるものに感じてしまい、この映画への気持ちの距離が遠のかせる。


リングのように現実的な感染症が根本的な原因、というのも最早現代には新しさは感じられないが、それにしても少し飛躍しすぎたように感じた。

もちろん最後にあの、とあるものが実際に存在していると断定した描き方ではないが、仮にあれをピーターが生きている状態で信者達に扇動されている状態だと捉えるとすると、2階から落ちたピーターに当てられた光はなんだったのか?無意味な演出となるのでは?と疑問も浮かんでくる(他のシーンでも誰も認識していないが観客だけがわかる光の演出にも同じことが言える)。


演出的に非常に眼を見張るものの連続で素晴らしかったからこそ、最後のロジックにもう少し厚みが欲しかった。
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