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パッドマン 5億人の女性を救った男のmina10のレビュー・感想・評価

4.3
インド映画定番の歌って踊って…はほぼ無く、ドラマチックに恋に落ちることも大どんでん返しもなく、ただ淡々と進んでいくドキュメンタリー寄りの話でしたが、その分丁寧に誠実に作られたいい映画だったと思います。
本編にも一瞬出ていましたが、TEDの裏話のような。

ストーリーは生理の話ではありましたが、他のテーマに置き換えても成り立つインドの宗教的な制約によるリテラシーの欠如など、今後先進国になろうとする国として打破すべき社会的課題がしっかり描かれていましたね。
これが公開されて日本にまで来るという時点で可視化されつつあるという証拠であり、いい傾向なのではと思った次第です。
地域差による人々の考え方やリテラシーの差もきちんと描かれてあり、ファンタジー要素でごまかせない分、その辺りもよりリアリティーのあるものになっていたのでは。

無理に西洋化の道を選ばなくても宗教と社会的発展はきっと矛盾しない道があるはず。宗教の多様性が大きなインドだからこそできる解決法を今後も模索していってほしいと心から願いたくなりました。

そして鑑賞直後の後味は良いのに、後から『ハッピーエンドに見えたけど…もしかして結局彼自身の問題は何も解決されてない…?』と時間差でモヤモヤもできます。そんなところまでリアリティーがある。
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