バナンザ

ペンギン・ハイウェイのバナンザのネタバレレビュー・内容・結末

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

すべてに意味を感じられる作品だった。物語全体を通じて、世界の果てをテーマとしていて果てとは外側ではなく内側にあるという考えが提示されていて私にとって新しい観点だと思った。

名前が興味深かった。青山という苗字から、若さ・将来を意味する青さと自然を意味する山からできていて、内田という苗字からは世界の果てが内側にあり身近に存在することを示しているように感じた。お姉さんは苗字が出てこないことから、完全性を持った創造者や世界の謎を擬人化した人物であると捉えられるのではないか。青山は科学の擬人化であり、地球の歴史と比べて歴史が浅いことから小学4年生という設定が生まれたのではないかと思っている。自分を天才だと思っている自負の念に未熟さを感じ、真実らしさを感じた。

お姉さんを社会や産業の擬人化だという解釈もできる。科学の実験によって、ペンギンの誕生を促進したことは、科学技術の発展により人々に魅力的な事象を生み出しているとともに地球温暖化や環境の悪化を表現した「海」に対する改善策もしくは破壊策を生み出すことを意味していた。お姉さんは、科学の実験をしなくてもペンギンを生み出していたかもという発言をしていることから環境を配慮しない産業の発展が想起される。こう考えると、ペンギンは善としての科学技術であり、ジハヴォックは悪としての科学技術を意味していたのではないか。
しかし、一度見ただけではお姉さんを通じて何を表現していたのかを一貫して理解することができない。

地球温暖化によって地球の海面が上昇したことを海の膨張と表現したとともに世界の果てと捉えたことで、科学技術の発展が世界の終わりを到来させることを意味していると思う。

お姉さんが歯科医院に勤務していたことは、子どもにとって恐怖の象徴である歯科を現実の世界と重ね合わせたのではないか。医院の中の本にもペンギンのページがあったことは意味があるように感じた。青山の妹は、「人間が全員死ぬ」という現実を嘆いていた。それに対して青山は受け入れていて泣くことはなかった。お姉さんがいなくなったとき、泣いていないと発言したことは現実の悲惨さに嘆くことはないと言いたかったのではないか。

青山が興味を示した、お姉さんの「おっぱい」は科学で検証することのできない性的魅力を表現していたと感じる。
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