まぬままおま

嵐電のまぬままおまのレビュー・感想・評価

嵐電(2019年製作の映画)
4.0
鈴木卓爾監督作品。

京都に住んだことがある身としてはとても胸に響く作品でした。

京都は不思議な街で、都会と言えるほどビルがそびえ立つわけでも、田舎と言うほど何もないわけではない。
だからこそ風景は美しく空は広く澄んでいるし、街中には唯一性を帯びたお店がたくさんある。作中にも登場するように、嵐電の踏切や嵐山・太秦の美しさや駅のホームに接しているカフェなど。

そしてそんな街に引き寄せられるように色んな人がいる。
京都が地元な人はもちろん、仕事のためにくる人、修学旅行などで観光にくる人、そして私のように学生が。
色んな人が京都を循環して街をつくっている。それが伝統を守りながら、新しいことも芽吹く土壌になっているのだと思う。だから京都は魅力的な街なのだ。

もちろんそれは人々の歴史や記憶、思いが、痕跡を残して存在していることも意味する。だから登場人物らは、痕跡に触れると共に、嵐電で遥か彼方へ誘われてしまう。そして現実とフィクションが混線しあう。

現実とフィクションの循環。現実を眼差しながら、別様の未来を創造すること。それが映画なのかもしれない。

蛇足1
カフェ店員の小倉嘉子役の大西礼芳さん魅力的だ。

蛇足2
公式ホームページの濱口竜介監督のコメントにしびれた。(http://www.randen-movie.com/ )