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希望の灯りのtravisのレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
4.7
ドイツベルリンの壁崩壊後、再統一された後、旧東ドイツの人々の社会の底辺での心の触れ合いを描いている、とても真摯で繊細な作品です。
原題は、『通路で』ということだが、舞台が旧東ドイツのトラック会社の跡地に建設された巨大スーパーマーケットで働く人々が作業している通路だからだろう。
登場人物それぞれが辛さ、孤独、経済格差による生きづらさを感じながらも、それぞれが温かい眼差しで助け合い、心を寄せ合い、毎日を懸命に生きている。
トーマス・ステューバー監督の人への温かい眼差しがあるからこそ完成されたような、とても優しい作品だと思う。
邦画では、小津安二郎、山田洋次監督などの作品がそんな優しい雰囲気に溢れているが、近年の邦画では、そんな素晴らしいものはあまり観られなくなったのは寂しい限りだ。
しかし、『ミッドナイトスワン』はかなりの名作だと思う。
話を本作に戻すが、どれだけ辛く、這いつくばって生きていようが、とても優しい思いやりで仲間を助け見守って生きていくこの物語は、毎日を孤独と闘いながら生きている人にきっと希望の灯りを灯してくれると思う。
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