逝ったかぴー

ウトヤ島、7月22日の逝ったかぴーのレビュー・感想・評価

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)
3.0
2日前、併映されていたババールの涙の後に鑑賞した。鑑賞中の印象は起伏のないパニック映画という感じで、たまに来る銃声に驚くくらいのものだった。鑑賞後はラストシーンもあいまってそのメッセージ性の無さに疑問を感じていた。これはワンカット映画を撮りたかった監督のエゴ作品なのではないのか、などという失礼なことも考えていた。この時点では文句なしの星1をつけていたところだ。しかし1日経ち、他の人たちのレビューを読む中でその評価がガラリとかわった。この映画はこれで良かったのだ。この作品はただただ事実だけが伝えられていた。なんの理由もきっかけも無く軽い発砲音の下でただただ理不尽に殺される。救いもない。それが被害者達の事実だったのだ。それはそれは単調な映画になるはずだ。ウトヤ島で起こった狂気にメッセージ性なんてないのだから。これに気づいたとき、2日前の自分が恥ずかしくなった。つまるところいかに自分が"ニュース"に劇的なスパイスを求める人間であるかというのが露呈してしまったのだ。もしかせずとも自分のような刺激に飢えた人間がメディアの過激化を助長してしまっていたのであろう。そういう意味でも考えさせられる作品であった。