レインウォッチャー

コーヒーが冷めないうちにのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

コーヒーが冷めないうちに(2018年製作の映画)
2.5
■RWと48の地獄㊸ あと5本!
奪われた体の一部を取り戻すため、RWは大晦日までに48の魔物を倒さねばならない!奴等は地獄映画の中に潜んでいる…

□戦績
ブロッコリー系。この映画といえば、某ウルトラマンも怒っていた悪名高いコピー【ー4回泣けますー】であろう。

確かにこのコピーは誰がどうたって下品で短絡的で人をバカにしてるけれど、実は熱意があって賢い大人が考えた別の素晴らしいコピーがあったところを、徹夜しすぎた博報堂の担当者が誤ってver0.001くらいのやつを送ってしまったんだとわたしは心から信じている(イブにサンタを待つ少女の目で)。
でもその後の映画界が【次は8回泣けます】【なんの、12回!】みたいなインフレ合戦になったわけではないので、それは良かったよね。

で、実際フタを開けてみれば、泣ける…かどうかは人によるとして(ふわふわ言葉)、少なくともわたしには【4回笑える】映画であることは確かだった。

今作は「過去に戻れる席」のある喫茶店が舞台なのだけれど、それにはいくつかのルールがある。そのうちのひとつが、戻った先の過去で「コーヒーを冷める前に飲み干さなければならない」こと。この掟を破るとエライことになってしまうのだ。

だがやはり、戻った人たちはそこで会った人との別れが惜しく、なかなか切り出せない。このタイムリミット感がドラマ性の演出にもなっているわけだ。
じゃあどうなるか?というと、毎回なかなかの量のコーヒーがカップに残り、みんなそれを慌てて飲み干すことになるのである。

イメージいただけるだろうか。
今作は4つのエピソードに分かれているのだけれど、毎回その泣ける対話(※効果には個人差があります)のクライマックスで、いかにもな感じでフワァ〜と盛り上がるストリングスの音楽(課税しなきゃ)をバックに、波瑠も、松重豊も、吉田羊も、有村架純も、泣き顔でコーヒーを飲み干すのだ。ぐびぐび、ぐびぐびと。

なんかもうわたしは笑ってしまって、途中からはこのタイミングを待ち望む体になっていた。ちょうど、ラップでライムの瞬間を待つ感覚である。
多くの方はご存知だと思うが、冷めたホットコーヒーって独特のまずさがあるものだ。あの雑味がよみがえってくるし、その後の息のにおいもありありと、当事者が「アレ正直きつかったよね」とか楽屋で言いあってる様子まで想像できて追い笑いがやってくる。エピソードに感動ができたとしても、ここで毎度緊張がバッサリ途切れるのだ。

真面目なことを書くと、これって小説をそのまま工夫なく映画にした失敗例のひとつだと思う。(原作未読のため、実は違ったらすみません)
文章とか、あるいはアニメや演劇なら気にならないことが、リアリティがある前提のドラマとして映像化されると間が抜けて見える。なんだか勉強になってしまった。

しかも律儀にカップが透明で、残量がわかるようになってるのだよね。親切だけれどバラエティ脳すぎやしないだろうか。TBSのノウハウが裏目に出たのだろうか。

ていうか、どうせ有村架純にがぶ飲みさせるならコーヒーよりも牛n…《ここで手記は途切れている…残りは血が滲んで読むことができない》


□倒しかた
冒頭の状況説明パートとか、舞台をそのまま映画に持ってきたような喫茶店内の会話とか、終盤にいきなりACのCMみたいになる演出とか、そのへんのしんどさにいちいち文句を言うのは甲殻類アレルギーの人が車海老を嬉々として踊り食いしてから「痒いじゃねえか!」って言ってるのと変わらないので書かずにおこうと思う(書いてるのと同じという説も一部ではささやかれる)。

耐え忍ぶために歯ぎしりしすぎてエナメル質が剥がれ、ホワイトニング効果がある映画といえよう。コーヒー飲みすぎて放置すると色素がつくから気をつけましょうね。


□分類
カフェイン以外全部レス地獄


□取り戻したパーツ
ケメックス


□次回予告
重鎮!アタ●●・オブ・●・キ●ート●ト!
>>To Be Continued...