小品ながらずっしり来る。
アルゼンチンに住むユダヤ人の老アブラハムが家族からぞんざいに扱われたことをきっかけに、半ば自暴自棄な感じで家出して古いポーランドの友人と交わした約束を果たしに行く話。
頑固爺さんが心を開いていくクリスマス・キャロル系をベースに第二次大戦のユダヤ人虐殺で心を閉ざした人を描く重い話なんだけど、アブラハムが旅路で関わっていく人たちが全く他人なのに手を差し伸べていくのがすごいいい感じに描かれてて、ジーンとくるんだよね。特に文化人類学者のドイツ人との交流が泣ける。
冒頭、一緒に写真に写りたくなくてiPhone6の値段交渉をする孫とのやりとりが、後に登場するたった５つの甘い言葉を言ってくれない正直な娘さんの前振りになってて上手かった。
前半ちょっと軽めの感じから後半でBGMが重厚になってきて雰囲気を盛り立ててたね。
