主演は日活ロマンポルノ第一号女優の片桐夕子、監督はロマンポルノ第1作を始め84本のロマンポルノを撮った西村監督

舞台は戦前の昭和13年、大阪、飛田の赤線地帯の遊郭。
姉の加代が働く廊へ、松島の遊郭から妹の女郎、つる子が移ってくる。
つる子が来たのは、この姉妹の母親が悪い奴で、姉から稼ぎを横取りして男に貢いでるのを止めるため。
姉妹を遊郭に売ったのもこの鬼母。

真面目な性格で、遊郭から抜け出そうにも、ヤクザの親分に惚れてしまったり、肺炎を患っていたり、稼ぎを母やヤクザに渡してしまいがんじがらめの不幸の塊の姉と、明るい性格で世渡り上手の妹の対比が面白い。

⭐︎女郎も食べ物も初物が好きな客や
⭐︎その初物の琵琶10個をアソコに入れらるか試してみたり
⭐︎川に落ちているガラクタを拾って売って生計立ててる乞食が、小娘を拾って（誘拐）育てて大きくなったら売って儲けてたり
⭐︎女郎の性病検査をしてる産婦人科の先生が、検査したつる子の名器に惚れて店に来ちゃったり
エピソードが面白いです

この産婦人科の先生が大陸に出兵するんですけど、その役割が、戦地の従軍慰安婦を検査するため、という今なら口にできないようなお仕事です。慰安婦といっても現地の女性ではなく日本から志願した女が行くんだって。

60分という短さもあるけど、セックスシーン、女郎の悲哀、逞しく生きる男女の人生がテンポ良く進んであっという間でした。

神保町シアター
「花街　色街　おんなの街」特集で見ました。

片桐夕子のお姉さん役、星まり子がとても良い　他のも見れるだけ見なきゃ

赤線シリーズ4作目は隠れた名作。昭和13年大阪の臍下三寸、公衆便所である飛田遊郭を西村昭五郎が活写。

初物好きの高橋明が初物遊女つや子（片桐夕子）を買ったあと、初物の枇杷を出す。隣の遊女（丘奈保美）と客（影山英俊）交え4人が顔突き合わせて枇杷を食う。枇杷10個あそこに入れられたら10両に挑戦する片桐夕子の股間を3人が覗きこむ。など印象的なショットの連続。

勝ち気でしっかり者で名器の持ち主妹つや子が弱気で毒母や男に稼ぎを渡してしまう姉かよ（星まり子）を監視するため飛田へやって来る。さらにかよは肺病を患ってしまう薄幸。
星まり子が臼で茶を挽きながら子守唄を歌うのも良い。「お茶をひく」の語源ですね。
検診の日、つや子の名器を見つけた婦人科医が名器を試そうと店に上がって待たされている。やり手婆（堺美紀子）と「関東のように回しがあれば良いんですが」「回しを取らないのが飛田の良さだ」なんて会話。へぇ～、勉強になるな。
ガタロウ乞食（山谷初男）が女の子を攫って育て女郎に売る。
出所してきたヤクザの益富信孝と星まり子とのメロドラマもあり。
益富は堺美由紀の思わずはっとする橋の欄干伏線回収して見事転落死。
物語の幕開きと掉尾は赤線の店で育ったボンボンのナレーション。

関西弁も違和感無く感じたが実際はどうなんでしょ？日活の力。