このレビューはネタバレを含みます
今最も刺激的な作品を世に送り出している、A24製作のホラー映画。ロバート・エガーズ監督前作の【ウィッチ】よりもよりチャレンジングな内容です。
出演者は灯台守りとそのアシスタントの二人だけ。当然二人だけのセリフの応酬になりがちですが、夢か真実かどちらともつかないシーンを多く挟み込んでいます。
セリフは難解です。しかも彼ら二人以外に登場人物はいないので舞台劇のようになりがちなところ、灯台の存在感を際立たせて観客を思索へ導きます。
正方形のアスペクト画面の白黒映画というフォーマットが、ホラー映画を越えて、この映画を哲学的なテーマに昇華させている様が見事です。
人外の存在も見過ごせません。カモメ、カニ、タコなどの実在の動物に加え、神話由来の存在も物語に奥行きを与えています。邦題をつけるなら【ニーチェの海】。