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シシリアン・ゴースト・ストーリーのmemoのレビュー・感想・評価

4.8
暗闇に光るルナの瞳。あなたを想い続ける、探し続ける、あなたを諦めることなんてしないとただジュゼッペだけを見つめるまっすぐな光。ルナの力強いまなざしがたとえ暗闇の中でもどんな状況に置かれても最後まで決して光を失うことがなかったのが、この映画がジュゼッペに捧げる誓いのように思った。「あなたのことを決して忘れない」という、せめてもの誓い。

実話が元になっているとは知らず、可愛らしくて幻想的なラブストーリーだろうと思って観たので、冒頭から、無視することのできないただならぬ雰囲気に身体と心臓がゾッとした。画面に映るのは自然光の下の美しい風景と可愛らしいふたりのやり取りのはずなのに、そこには「目には見えない何かが潜んでいる」という恐怖感や閉鎖感がつきまとっている。カメラワークと音が冴え渡っていてかなりよかった。(音の拾い方というのかな、音の存在感がすごくて風や草木の音すらも不穏なものになっていた、そしてその後に入るギギギギギ…の音とか)


生と死、現実と幻想、水、手紙、髪、青、友達、ライト、壁の絵、沈黙する大人
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