「シシリアン・ゴースト・ストーリー」というタイトルからは予想がつかなかったほどの凄惨な事件をベースに、寓話的ラブストーリーに仕立てた傑作。
観客側の想像力が問われる少し難しい構成。
現実と夢と登場人物の想像が同次元で進行していくから、途中で迷子になりそうになるのを、細かい演出の端々を線で結びながら観ていないと訳が分からなくなると思う。
シチリアの自然の中に多義的に暗喩を散りばめていて、その演出の技の細かさと幻想的な映像の美しさが違和感なく同居していて構成が秀逸。
パンフを読んで、登場する主要な同級生が、現地調達の地元の子供たちということを知ってさらに驚愕。「ルナ」を演じた女の子(ポーランド人シチリア育ち)の表情と目で語る力が、この映画の主軸の一つになってると言っても過言では無いくらいに素晴らしい。
