nana

シシリアン・ゴースト・ストーリーのnanaのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ジュゼッペ・ディ・マッテオさんの魂がどうか安らかにありますように、心からお祈り致します。

私が産まれる少し前、イタリアである少年が殺害された。正直、多くは語りたくない。彼は何も悪くない。
彼の鎮魂と、決して忘れてはならない、二度と繰り返してはならない事実を、幻想というヴェールに包んだ本作は、あまりにも残酷で、それでいて胸を打つ作品だった。

ルナは実在の人物ではない。
だが事件を知った皆が思ったであろう、彼への救済の想いを形作った少女だった。

空想の中だけでも彼に幸福な眠りについてほしいというのは、私の我儘に過ぎない。だがこの事件の結末は変わることがない。彼が息を吹き返すことは二度とない。湖に溶けた彼の30kgはあまりにも軽く、そして重い。
だからどうか願わくば、彼に死後の世界がありますように。どうか幸せでありますように。
私には信じる宗教というものが無いし、本当に神さまが居るのかどうかも、死後の世界が存在するのかも分からない。それでも願わずにはいられなかった。
どうか穏やかに眠ってほしい、幸せな夢を見ていてほしい、そして名前も知られずにこの世を去った多くの人々にも、どうか幸福な眠りについてほしい。
そう願ってしまうのは私の我儘だ、傲慢で、あまりにも夢見がちな考えだろう。それでもどうか、彼が、彼らがそこに居たことを胸にしまい、皆が幸福であるようにと私は願う。
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