ただのひと

シシリアン・ゴースト・ストーリーのただのひとのレビュー・感想・評価

3.8
シチリアの美しい大自然と、そこに潜む不協和音にグッと魅入ってしまった。

強い眼差しを持った少女だけが救いのような映画だったが、実話だと知り、圧倒的無力。

少女を通して実話の中に組み込まれていたファンタジー要素が彼にとって救いであって欲しい、そんな監督の想いを感じた。

心が鉛のように重くなっていく中、ラストの海のシーンが爽やかすぎて唖然とする。キラキラした青春に紛れて奥の方で1人飛び込む裸の少年が見えた瞬間、一瞬で気持ちを引き戻された。しかし後味は悪くない、これは、彼に捧げた映画なんだな。
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