りめんばーみー

チャンブラにてのりめんばーみーのレビュー・感想・評価

チャンブラにて(2017年製作の映画)
4.0
家族のために早く大人になりたい
ならざるを得ない
たとえ、そこが掃き溜めでも

【観る前の予備知識+評価点】
ロマ族(ジプシー)の少年が主人公。
イタリア南部のラブリア州レッジョ・カラブリア県にあるスラム、チャンブラで一家と共に暮らす。
ロマ族は政府から公認されず、定職にもつきずらく、電気は直接電線から違法的に引き、日銭は盗品を売って稼ぐ生活。
掃き溜めと言える環境で暮らすロマ族の現状を映すと共に、それを超えてその場所、その時でしか撮れないドラマに仕上がっている。
日本では絶対に撮れない力作。

これだけは書かせて。
以下、ネタバレします。

【重厚な涙】
出演者のほとんどは役者ではない。
主人公ピオも含めて、実際のロマ族一家である。
監督が撮影機材一式を積んだ車を盗まれ、その返還交渉した泥棒達の関係者である。
だから演技が荒削りなところもある。
しかし、最後の涙のシーンは本当に素晴らしい。
役者では出ない、重厚な涙が頬を伝う。
大人になる前の最後の涙。
友人への想い、家族への想い、未来への想いが流れ落ちる。
これほど、濃い涙は久しぶりに観た。

鑑賞後、考えてしまう。
ピオは外の世界を夢見たのだろうか?
馬に乗り、外へ出たいと思っただろうか?
それも思い浮かばなかっただろうか?
りめんばーみー

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