すごすぎる。バスガイドの声がずーっと聞こえていて、車窓から見える景色→眠る女→ガイドを見聞きする男→そして最後にガイドの女性が映される。完璧なファースト(ショット)シーン。ほとんど暴力的な、流れる景色の長回しに重なるバスガイドの案内が、発声元の確認を阻害、遅延していて、一気に作品内に引き込まれる。旅館ロビーでの受付シーンだって、男が画面の奥にいて、女が大きな声で呼びかけないと聞こえない、その空間の作り方に、興奮せざるをえない。反復される旅館の部屋は小津だろう。男がメモしながらぶつぶつ呟いてる。ディナーシーンの、店外→店内(鏡・明暗)→店外の化け物モンタージュヤバすぎ!!
ダンスする前に必ず別の運動をさせてるのもすごい。モノローグを入れるタイミングも絶妙。「眠り」が映画の最初と転換点に配置されてる技巧。舞台装置が自然で、作為を感じさせない、フィクションとしてのリアリティが果てしなく上手い。ライトセーバーからのカラオケ(男性独りの行動)はかなりグッとくる。2人の時に入らず、1人で入って窓から男が見えるのも良いし、見下ろす男→見上げる女の切り返し高低マッチカット(?)からのさらに高低切り返し→眩い光は本当にヤバすぎて思わず声が出た。すごい、すごすぎる。「ピッコラのピザ」のショット、やはりここでも画面内での明暗が意識されてるのと、赤い服に青いハンモック、緑の自然という色の意識まで怠らない。どこまでやってくれるんだ。なんか奥の方で知らん人がウロチョロしてるし。暗闇を照らすスマホのライト。花火映すな映すな……って思ってたけど終わる瞬間を映したからまあ許す。そしてなんといっても強烈なラストショット。濱口竜介に並ぶ、今年1の衝撃を受けた。