切り口は良いと思ったが、ラッパーのロクサーヌ・シャンテの物語が輝かず、ドラマティックに感じられなかった。彼女がスキルのあるMCだった事も、「ロクサーヌ」がムーブメントになったきっかけや事象も上手く描かれておらず、アルコール中毒の厳しい母親と妹の養育、年上のDV旦那に悩まされる辛い女性、というプライベート面にスポットがあてられて、散漫になってしまったのが残念。良かったのはビズとの"The Def Fresh Crew"（ロクサーヌ・シャンテといえば自分にとってはこの曲）誕生秘話とバトルを繰り広げたSparky Dとの友情のパート。同郷の若い頃のナズを最後に取ってつけたように出してくる演出も好きになれない（ナズがこの作品に謝意を述べてるから、本当にあったエピソードではあるんだろうけどね）。Netflixでヒップホップのコンテンツが増えるのは大歓迎だけど、作品数ではなく一作ごとの質を上げてもらえるとさらに嬉しい。
