マクガフィン

ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~のマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.6
身近な者達の多角的なインタビュー形式にプライベート秘蔵映像や時代背景の映像で展開するドキュメンタリー形式は、想像以上の映像の丁寧な積み重ねることにより、歌姫が堕ちていく経緯を容赦なく炙り出していくことに驚く。ファミリー公認のようだが、個々の取り巻きの悔恨からくるような釈明のようなインタビューが続く〈違和感〉が何とも言えない。

美人でキュートでスリムでもあり、圧倒的な歌唱力でスターダムを一気に駆け上るホイットニーの華々しい前半と、後半のドラッグや取り巻きが原因で、見る影もなく落ちていく対比が痛々しいほどに。幼少の頃からのトラウマと思われる、旦那やファミリーへの依存は、社会権力的に弱い黒人のマイノリティ故の結束は、ファミリービジネスに繋がることに。ホイットニーに群がり、依存し、主導権を奪い合い、ホイットニーの脱落や死の責任の擦り付けをする取り巻き達の姿が痛々しく、ファミリービジネスの危うさが浮かび上がる。白人社会に窃取される黒人社会の一面も。ドラッグ調達係もしていた兄などの取り巻きはギャングとの繋がりもあったのでは。

そんなファミリーから忌み嫌われていた、キーマンになる、10代のころから長年に渡り、公私ともに支えていたレズの女性が登場しないことで、ピースが足りなく、ミステリアスな部分を残した結果に。この女性は生きているのか心配になる。

周りの環境の大切さが身に沁みり、希代の歌姫の死とホイットニーの娘の死の因果さが居たたまれない。自分の保身のためのように、プライベート映像を提供したファミリー兼取り巻きの愚劣さが、ホイットニーを脱落させた一因なことは間違いないのでは。