けーはち

劇場版総集編 前編 メイドインアビス 旅立ちの夜明けのけーはちのレビュー・感想・評価

3.4
つくしあきひと原作漫画『メイドインアビス』のアニメ化総集編・前編。可愛い絵柄、天真爛漫な主人公の幻想的な王道冒険譚であると同時に、情け容赦のない危険に晒される少年少女の様子を作者が楽しみつつ執拗にねっとりと描いているのがよく分かる嗜虐性癖ダダ漏れ・実写化不能・ダーク・ファンタジー。世界の中心で真下に伸びる巨大洞窟「アビス」の採掘は人間社会を支えているが、危険生物がウヨウヨしており、また深く潜ると「上昇負荷」で人間社会に戻れなくなる呪いがかかるため、最深部の探窟を担う「白笛」は至高の英雄とされ、そんな「白笛」である母親を追う少女の前に突然現れた記憶喪失のロボット少年が共に穴の底を目指す。主演声優、富田美憂の取ってつけたような天真爛漫な演技には最初面食らうが、その明るい少女が衝動に突き動かされ地獄に向かう容赦のない物語が牙をむく。とはいえ本作ではまだ小手調べで、後半登場する「白笛」の一人オーゼンもとんだ性格破綻者に見えるが他に比べればまだマシだったと後に知るのだ。