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告白小説、その結末のmeltdownkoのネタバレレビュー・内容・結末

告白小説、その結末(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画が終わり、完成したパズルを見てみると、なんだかやたらとパーツが余っている。意味ありげに放り出されたシチュエーションの数々が、どこにも収まらないまま片付けられていないように見えたのである。とはいえ、その剰余に一応の解釈を与えてみたい。
デルフィーヌの周辺に起こった出来事の数々は、その多くがメタファー、あるいはオルターエゴの仕業であったのだ、と見るのは飛躍が過ぎるだろうか。デルフィーヌが欲した理解者、ベストセラー作家にのしかかる重圧、アイディアの不在と消失(ノートの行方)、デルフィーヌの逃避願望、等々のすべてを担ってきたのが「彼女」(およびその行動)であったのではないか。
館にやってきた男はなぜ「彼女」の姿を見なかったのか、それどころかそれ以外の誰もがなぜ「彼女」を認識していないのか(逮捕すらされていないのだ)。そう考えてみれば、そもそも「彼女」が存在していないのだと結論付けても間違ってはいないだろう。そして、「彼女」の不在のあとでその顔がふとちらついてしまうのは、ふたたびデルフィーヌが「彼女」を必要とするのだろうという予兆であるように私には見えるのである。
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