ワンコ

21世紀の女の子のワンコのレビュー・感想・評価

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
4.1
抱える揺らぎや、ざわめき
「21世紀」は、僕達が若かった頃より、ちょっと複雑だ。
LGBTQや外国文化など多様性の理解が当たり前のように求められたり、女性の社会進出が課題として語られたり、これにSNSが加わって更に複雑さが増す…。
ただ、この映画のタイトルにある「女の子」達の揺らぎや、ざわめきは、つい20年ほど前の20世紀と大差ないんじゃないだろうか。

失って初めて好きだったことに気がついたり。相手が例え同性であっても。
同性の友情とは何か、悩んだり、壁に突き当たったり。
卑猥なトークに花が咲いたり。
異性を寄せ付けられなかったり。
セックスが好きだったり。
割り切ってるハズなのに、恋に落ちたり。
依存していたいのに、自立を求められたり。
周りと分かり合えず、孤独に苛まれたり。
ふとした弾みで、自分の中には眠る別のジェンダーに気付いたり。
少女のままでいたいのに、大人がもうすぐそこにに迫っていたり。

そして、もう一つ、映画の重要なポイントは言葉だ。
簡潔な言葉が重くのしかかったり、短編映画を一見補うかのように、また、まるで舞台でも観てるかのように、言葉がとめどなく溢れたりする。
ただ、自分の今を表現するには、どんなに言葉を選んでも、どんなに哲学的な言葉を並べて立てても足りず、空虚さだけが、そこに残る。
そんなところにも、揺らぎや、ざわめきが感じられる。

この映画の監督たちや、俳優たちは、「21世紀の女の子」は…、彼女たちの抱える揺らぎや、ざわめきは…、それ程「あなたたち」と変わらないじゃないかと言ってるような気がする。
少なくとも僕はそう思う。
そんな目線で楽しめる映画だと思う。
ワンコ

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