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チワワちゃんのtetsuのレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
3.9
岡崎京子さんの作品に興味を持ち、鑑賞。


[あらすじ]

"チワワちゃん"と呼ばれていた女性がバラバラ死体として発見された。
彼女がつるんでいた若者グループの一人・ミキは、仲間たちの聞き取りを通して、ミステリアスだった"チワワちゃん"の実態を探っていくが、謎は深まるばかり。
果たして、チワワちゃんとは、一体、何者だったのか……。


[感想]

煮えきらない複雑な感情を抱きつつも、岡崎京子さんの原作映画史上、最もハマった作品でした。

ただ、救われたようでいて、純粋に良い話としては受け入れ難いラストに、若干、煙に巻かれたような感覚も抱きました。


[岡﨑京子作品らしさ]

事件の真相を追いかける主人公の姿が、「芸能人の死」をエンタメ消費する"メディアの姿"にダブったり、意味深に写し出される異国のニュースが全く物語に関わってこなかったり、チカチカとカメラのシャッターが光ったりと、隠しきれない岡﨑京子色を感じられるのも本作の見所。

冷めた視点から日本社会やメディアを皮肉るような作風は、岡﨑さんの作品に一貫する題材だと思いますが、そんな内容を「カラフルな映像×イケてる音楽×すさまじい編集力」という二宮監督の個性で、新たな次元へと押し上げているのが、興味深かったです。
(なんなら、劇中には、『時計じかけのオレンジ』のオマージュと見られる部分さえある。)


[おわりに]

過激な描写が多く、鑑賞後には演者の精神面でさえ、心配になるほどに衝撃的なシーンが多かった本作。

撮影の舞台裏について調べると、その問題は特に大丈夫だったようですが、とりあえず、「二宮健監督がいろんな意味でヤバイ人」ということは、確信する映画でした。笑

参考
門脇麦×吉田志織インタビュー 岡崎京子原作『チワワちゃん』の過酷な撮影裏を語る 【ABEMA TIMES】
https://times.abema.tv/news-article/5432653
(監督の無茶ぶりvs役者魂みたいな撮影現場。) 
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