映画武士道

カンフートラベラー 北腿の映画武士道のレビュー・感想・評価

カンフートラベラー 北腿(2017年製作の映画)
3.8
結論として結構面白かったです。
ただし脚本にちらほら問題点というものがあるのでそれを無視できるなら見れる作品だと思います。
中華版拳法ターミネーター作品。

カンフー・トラベラー南拳という作品の続編です。
設定はほぼ前作と同じ。
遙か未来の時代、人類はエイリアンの襲来を受け絶滅の危機に瀕していた。
そのエイリアンは人類をはるかに超越する科学力を持ち人類の兵器が一切通用しない・・・なすすべもない人類。人類はこのままエイリアンに絶滅させられてしまうのか?と誰もが諦めかけていたその時・・・
ある一人の英雄が中国拳法の南拳を使って生身でばったばったとエイリアンを倒しまくって唯一の人類の勝利者となります。

エイリアンには南拳という拳法が有効だ!と考えた未来の首脳部は南拳全盛時代の清の時代に中国製ターミネーターを送り込み、南拳習得&南拳のデータをゲットしそれを大量のターミネーターにインストールしてエイリアンに勝利!
というのが前作のストーリー。
前作で見事、南拳の奥義までのデータを獲得し未来の大量のターミネーターにインストール。エイリアンを見事撃退できた!と思いきや南拳を習得させたターミネーターたちを戦わせてもなんとか互角に戦えてるだけみたい。
そこで未来の上層部は「やっぱ南拳だけではだめだ(南拳は長江以南で行われる武術の総称。手技主体)、北腿(中国北部で盛んな蹴り技主体の拳法)も身につけないと!」
ということで再び清の時代に拳法を習得させるためにターミネーターを送り込む・・・
というのが今作のストーリーです。

前作もそうですが過去の時代にターミネーターを送り込んで拳法を習得させる。という設定が面白いです。
そしてこの作品に出てくるターミネーターは弱いです。生身の人間相手によく負けます。(鋼鉄製外骨格なので人より頑丈という設定がありますがそれ以外は良くも悪くも普通の人間レベルのスペックです。)

それでも前作はターミネーターで一応機械なので物覚えは常人離れしている設定があったのですが、今作は清の時代に到着早々雷に打たれまくって故障。習ったことをすぐ忘れてしまうおバカさんになってしまいます。
(その際ターミネーター君ギャグ漫画のようなアフロヘアになってて笑いました)

しかも故障の影響で自分が未来から来たターミネーターだということをすっかり忘れ自分のことはただの頑丈な人間だと思い込んでる。
そんな状態でも北腿の達人を見つけ技を持ち帰る使命だけは忘れていないのでやたら拳法が好きなちょっとおバカな人状態。
後半には前作から清の時代に来たまんまの状態のサポート要員のおかげで修理されちゃんと技を覚えられるようになるのですが、それまでは完全なおバカキャラ。コメディ要素が強くて面白いです。

脚本のレベルは前作よりだいぶ上がっている感じがしました。

今作ではお世話になっている司令官(直接の上司)がラスボス。
世界征服の野望を抱いて清の王朝を崩壊させた人物と作中の史実ではなっています。
ターミネーター君は司令官を止めて清王朝の崩壊を食い止めるために頑張ります。タイムスリップものではタブーとされている(過去にタイムスリップして過去を変えると未来が変わって未来から来た自分も含めて大勢が消滅する。その設定はこの作品でもあるのですがターミネーター君は自分が消滅するのを覚悟している)歴史の改変に挑む。果たしてターミネーター君は見事歴史を変えられるのか?
(未来のターミネーターを倒すという目的から主目的が変わっちゃってます。清王朝が倒れなければ未来の中国の軍隊はターミネーターなんて普通に撃退できるだろ!ということをターミネーター君は言っていますが未来の人類の兵器は一切効かない設定があるので無理では・・・)

前作でもそうでしたが脚本にちょいちょい問題点があります。
今作の脚本で一番やっちまったなあ!感があるのは憑依型エイリアンを登場させたことです。
エイリアンということですが完全な悪霊ですね。
憑依した相手を操ることができる能力を持ったエイリアンです。
通常攻撃では倒すことはできません(憑依された相手の体を破壊するのみ)
前作のおかしくなった南拳一番弟子もこの憑依型エイリアンに操られていたんでしょうか。
前作もそうですけど拳法が弱点なはずのエイリアンが達人レベルの拳法の達人として敵対してくるストーリー展開が違和感がありまくりなんですよ。(憑依した相手が身に着けている技だから問題ないってことなんでしょうかね)


脚本の問題点がちょいちょいある感じですが、まあそこは目をつむってみればそこそこ面白いです。
このシリーズは拳法習得のためにターミネーターを過去に送る&弱いターミネーターの設定がお気に入りの設定でした。本家のターミネーターのまんま逆をやっている。まず弱い。人類をきっちり救う&周りの人間を救う。今シリーズではAIものの作品にとって問題点になりがちな感情プログラムはいい方向に言っている。(前作もそうですがターミネーター君は性格がめちゃくちゃ良くて過去の時代の人気者。そして周りの人を守るために身を犠牲にできる英雄的な性格)本家のターミネーター君よりほんといいやつです。弱いけど。

中華版ターミネーター、そこそこお勧めです!(あと、脚本もうちょっと練ってくれたら言うことなかったです)
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