結論としては珠玉の名作クラスです!
これは絶対見ておいた方がいいです!
ただしかなり難解な作品なので覚悟して見てください。
あと一人で見た方がいいです。
彼女とか友人・家族と見るような作品では絶対ありません!
プロットが非常な複雑です。
ここまで複雑なプロットを持った作品はそうそうありません。
テリーギリアムほんと鬼才ですね。
あと私が感じたのはドンキホーテを演じたジョナサン・プライスの熱演。
本当に素晴らしい!すごい演技力!!こんな演技力凄いのは正直驚きました。
この人はパイレーツ・オブ・カリビアンのウェザビー・スワン総督役で有名ですが、この作品の彼は本当に輝いてる!熱演ぶりは脱帽ものです。
この演技を見るだけでもこの作品は価値があります。
この作品はノーベル研究所と愛書家団体が発表した、世界54か国の著名な文学者100人の投票による「史上最高の文学百選」で1位を獲得した「ドンキホーテ」の映像化作品。
基本的には原作にある程度忠実でありながら、独自の解釈と現代人に受け入れられやすいような現代性をうまくマッチングした作品になっています。
これだけでも面白いに決まってる!!
狂気と正気。
幻覚と現実の境目が分からなくなっていくかのような演出に見ているこっちもどこからが現実なのか?わからなくなってくる。
見ているうちに頭に浮かんでくるのが
北斗の拳の曲だったTOUGH BOYの歌詞
「 Welcome to this crazy time.このイカレた時代へようこそ君はTough Boy まともな奴ほどFeel so bad 正気でいられるなんて運がいいぜ」のフレーズ。
過酷な現実を前にすると人は正気を簡単に失ってしまう。
そしてこの世界はなんて美しくて残酷なんだ。
このことを再認識させてくれる作品。
主人公の映画監督の大切な思い出になっている大学時代に撮った思い出の作品。その作品に関わった人たちの人生を狂わせてしまった悲劇を描いた作品です。
主演だった靴職人のおじいさんはドンキホーテの役から抜け出せなくなり、完全に自分がドンキホーテだと信じ続けている狂人になってしまった。
ヒロインの村娘役だった清純な村の女の子は自分に才能があると思い込み、都会で女優を目指したのだがうまくいかずに娼婦になるまで落ちぶれてしまう。
私も写真を撮ってるので賞をいただいた、過去の傑作写真で関わった人たちがこうなってたらほんとショックですね~。
でもおじいさんはドンキホーテとして生きた狂気に陥った人生の方が充実してた感じありますね。
夢から覚めたくなかったのかもしれない。
夢の中で死ぬまで生き続けたかったであろうおじいさんは、心無い現実の大人たちの悪意によって正気に戻されてしまいます。正気に戻してあげたいという村人たちの善意ではなく、笑いものにされ所詮お前は偽物なんだ。という悪意によって現実世界に戻され失意のうちに死んでいくのは本当の意味で悲劇。。。泣けました。
映画界の売れっ子監督。エリートだった主人公が容疑者として警察に追われることになってしまい、自分がドンキホーテだと思ってる狂ったおじいさんと逃避行を続けるうちに徐々に狂気に陥っていく描写は秀逸。
そしてある決定的な出来事が起き彼は完全に狂ってしまう・・・
主人公も過酷な現実を前に狂気の世界に足を踏み入れていくのです・・・
おじいさんと主人公の関係性も徐々に変化していくのが楽しい。精神異常者に絡まれた一般人という関係だったのですが、次第に本当の騎士と従者の関係性に変化していく。
そして最終的には・・・ここから先はネタバレですね!ぜひともご自分で見て衝撃の結末を確認して欲しいです!
美しくも狂気とロマン、そして悲しみに満ちたこの作品ぜひともご覧あれ!